僕の欲しい君の薬指
相手の言葉の意味がはっきり云って全く理解できなかった。けれど相手は至って真剣な形相で、とても冗談を吐いている様には見えない。
「珠々がこの頃やけに浮ついてるなとは思っていたけど、やっとその原因が分かったよ。珠々の人を見る目だけは信頼できるから、月弓ちゃんはきっと良い子なんだろうね」
「人を見る目だけはって何だよ、他にもいっぱい信頼要素あんだろ」
「ないよ」
「即答すんな。お前のせいで完全に月弓が困ってるんだけど?」
「どうして困るのさ。僕は月弓ちゃんの美しさを愛でてるだけじゃない」
「お前のその思考、普通じゃないから」
「普通の人間じゃないから僕達はこの業界にいるんだよ。普通よりも秀でて輝かしい物を持っている自信と誇りが僕にはあるの。だから珠々のその言葉は僕にとっては褒め言葉以外の何物でもないね」
「あっそ」
溜め息を吐いて髪をくしゃりと乱す榛名さんの肩に顎を乗せて微笑むお人形さんを見て初めて、私は二人の背丈がほぼ変わらない事に気が付いた。筋肉質な榛名さんとは対照的に華奢なお人形さん。
だけどどちらも等しく美しくて、きちんと管理が行き届いている素晴らしい体型だ。