僕の欲しい君の薬指
口付けを受け止めている間に脱がされてしまったワンピースが、ベッドのサイドに投げ捨てられる。
「は、恥ずかしい…からやめて」
「噓つき。こんなにも厭らしい顔してる癖に」
彼に素肌を触れられて耳を塞ぎたくなる様な甘く痺れた声が口から洩れる。この部屋は私の部屋以上に天糸君の香り一色に染まっている。それが私の理性を悪戯に擽ってくる。
「可愛いね、月弓ちゃん」
「…あっ…」
「僕はずーっと、こんな日が来ることを願っていたんだよ」
「んっ」
「夢みたい」
とろりと蕩けていく彼の双眸と声に、生唾を呑み込んだ。着ていたTシャツを脱ぎ捨てた拍子に現れる彼の綺麗な身体は、彫刻みたいだった。
すっかり全身が火照ってしまっている。唇でゆっくり弧を描く彼の動作一つ一つが耽美で、目に毒だった。
「月弓ちゃんを食べたい」
愛おしいそうに眼を細めて私の輪郭を撫でた彼は、震える私の下唇に容赦なく噛み付いた。