僕の欲しい君の薬指
咄嗟に私が指差した先にあったのは、花瓶に活けられた白や紫色の麗しい顔を綻ばせているダリア。
「珠々さんって、お花が好きだったんですね」
幾重にも合わさっているダリアの花弁に私が頬を緩ませた直後、実に明瞭に珠々さんの様子に変化が現れた。
顔から血の気が引いていき、顔色がみるみるうちに悪くなっていく。どうしのだと私が困惑する間もなく、急いでその場から立ち上がった珠々さんが「やばい、水替えすんの忘れてた。絶対殺される」何やら物騒極まりない発言を零して花瓶を攫った。
一体誰に殺されるのだろうか。ついさっきも、如何にも誰かのおかげで料理の腕前が上達したかの様な口振りだった。