僕の欲しい君の薬指
狂気に堕ちた彼が私の首から手を離し、徐に私の左手薬指を撫でる。それから蒼白くなっている美しい貌を寄せて、頬擦りをした。
「ここに、月弓ちゃんのここに、僕以外の虫けらとの永遠の誓いが嵌められるなんて絶対に赦さない。僕だけの月弓ちゃんだもん。僕だけの薬指だもん」
「……」
「それなのに悪戯っ子な月弓ちゃんは、僕の精神を不安定にする様な事ばかりするし、このままだと珠々に誑かされてあいつとの永遠の誓いをここに嵌めてしまいそうだから…だからね…」
“その前に、僕が嚙み千切ってやる”