僕の欲しい君の薬指
息苦しくて窮屈でされど愛おしい彼の水槽の中で、私はずっとずっと囚われる。
「僕の為に生まれてくれてありがとう月弓ちゃん。とってもとっても、愛してる」
激しい律動と耳元で囁かれる過剰な糖度を孕んでいる台詞に、脳が搔き回されているみたいに揺れる。思考が溶かされ、理性が溶かされ、残ったのは本能だけだった。
自分の口から甲高い声が絶え間なく上がる。快感が押し寄せる度に腰が跳ね、全身が震える。
「く…らげ…」
「海月?」
「天糸君が海月を愛してるなんて知らなかった。天糸君の事で知らない事があるなんて気が狂いそうになる」
「え…」
「天糸君は私の全てを知っているのに、私は天糸君の全てを知れていないなんて…ムカつく」
「…っっ…」
きっと思考の巡が途絶えたせいだろう。胸中に留めておくつもりだった利己的な言葉がつい口を突いて出てしまった。しまったやってしまったそう思ったのに、首筋から括れたお腹に掛けて汗を流している彼の瞳がたちまち爛々と輝き、頬が赤く熟れていく。