僕の欲しい君の薬指


意味を理解した途端、羞恥心に殺されそうになった。自分に嫉妬するなんて阿呆の骨頂ではないか。


「あ…天糸君は、最初から私が天糸君に溺れるって分かっていたの?」

「どうして?」

「だ、だって…この家を準備していたし、私の家の片付けだって済ませてたから」

「なーんだそんな事?月弓ちゃんが僕を愛してくれるならこの家に閉じ込める。愛してくれなかったら引き摺ってでもこの家に監禁する。そう決めていただけだよ。月弓ちゃんはどのみち、ここに来る運命だったの」



嗚呼、そっか。そうだった。この子の愛は重くて狂っていて歪んでいるんだった。甘い仮面の下で息を潜めている彼の素貌は、とても妖艶で危険なのだ。



「質問コーナーは一旦お終い。お預けばかりで苦しいの」



“早く月弓ちゃんの体温に溶かされたい”



艶笑で美しい貌を飾った彼が腰を沈めた瞬間、余りにも大きな快感に私の呼吸が刹那的に停止した。


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