僕の欲しい君の薬指


彼の体温で皮膚が火傷を負ってしまいそうだった。彼の愛で心が焼けてしまいそうだった。どこもかしこもジリジリと熱くて、痛くて、苦しかった。

キスマークを一つまた一つと咲かせていく天糸君は、泣きじゃくる大人気ない私の眼球までも舌先で愛撫する。気味の悪い感触に犯され、口からは短く喘ぎ声が漏れる。

自分の声が艶めいていて、とても嫌だった。全部全部夢であって欲しい。瞼を持ち上げて夢から醒めた時には、仲の良い普通の従姉弟同士に戻ってくれたりしないかな。



「やだ……っっ恥ずかしいよ…」

「僕は愛おしいよ、何もかも」



非現実的な私の淡い願望を、この子は容赦なく打ち砕く。壊して、壊して、私の気持ちを粉々にして妖艶に微笑みを浮かべる。


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