僕の欲しい君の薬指
抵抗する思考も力もすっかり底をついていた。そんな私の姿を凝視して、彼は無慈悲に美しく笑う。
「月弓ちゃんと一つになりたい」
「駄目だよ」
「やだ。月弓ちゃんは僕だけの物だもん」
「これ以上は本当にやめないと…「あはは、もう可愛い抵抗はやめなよ月弓ちゃん。どうせ僕に愛されるしかないんだから」」
首を横に折り、さらさらと揺れて首の倒れた方へと流れる前髪の奥から覗く目を細めた彼が自らの下着を脱ぎ捨てる。今以上に彼との関係が崩壊する事への恐怖心で息が止まった。
背徳感と罪悪感が重くのしかかる。
「月弓ちゃんはね、息絶えるまで僕に囚われるんだよ。僕から逃げようとしたら、足の指を一本ずつ僕が切り落としてあげるね」
“きっと痛くて泣いちゃうかもしれないけれど、その涙も僕が愛情を込めて舐めてあげるから安心してね”
何を安心すれば良いのだろうか。私の足の指に口付ける彼は、ひたすらに艶っぽい。