僕の欲しい君の薬指



元々ロケの撮影が決まっていたメンバーが胃腸炎になってしまったらしく、他のメンバーは大学の単位が危うい人ばかり。そこで成績に問題のない天糸君に白羽の矢が立ったとの事だった。


彼がスカウトを受け事務所との契約を結んだ時もそうだったけれど、天糸君は仕事に関してとても真面目でお利口さんだ。その事実に、未だに一番驚いてしまう。


余程この仕事が好きなのだろう。こんなに急に仕事が決まったのに少し駄々を捏ねた程度であっさりと仕事を引き受けてしまった。



「行きたくない。行きたくない…けど頑張る」

「きゃっ」

「頑張るから、抱き締めさせて」


< 86 / 259 >

この作品をシェア

pagetop