僕の欲しい君の薬指
榛名さんの笑顔は夏を知らせる太陽よりもキラキラしていてとても眩い。
「ハードスケジュールで疲れ切って死ぬかと思ってたけど、月弓に会ったから充電できた。もう元気百倍」
「大袈裟では?」
「全然。本当に月弓の顔が見られて嬉しい」
こんなにも真っ直ぐな言葉をぶつけられてしまうと、じんわりと頬が熱くなる。
鼓動だって高鳴っている。榛名さんは心臓に悪い。
湿度を孕んだ鬱陶しい風に吹かれても、榛名さんはやはり涼し気だ。私なんて今にも汗だくになりそうだと云うのに…可笑しい、天糸君だってきっとこの炎天下の中でも涼しい顔をして仕事をこなしているのだろう。
……天糸君と離れて過ごせているのにどうして私は、さっきからわざわざ彼の事ばかり考えているのだろうか。