『愛獣』放埓な副社長は堅固な秘書を攻め落とす
副社長、いきなりどうしたんだろう?
ダメだししろって言われても困るんだけど。
彼はほぼ完ぺきなハイスぺ男子だ。
唯一欠点で挙げるとしたら、“女性問題”だろう。
けれど、それもここ最近は皆無と言っていいほど遊んでない。
「ダメだしをしろと言われましても困ります」
「遠慮なく何でも言っていいぞ」
「………」
「客観的に見て、いつも俺の一番傍にいて、何がダメなのか分かってるだろ」
「………」
「まぁ、一番に挙げるのは“女遊び”だと思うけど、それ以外で何かあるか?」
“女遊び”以外??
……無いよね?
香水のセンスもいいし、加齢臭も無いし、ムダ毛も無い。
お腹が出てるとかでもないし、口臭がするとかでもないし。
う~ん、何かあるだろうか?
「強いて言うなら、パーソナルスペースが近いくらいでしょうか?」
「ん~、でもさ、それ……芽依だけだからな」
「え?」
「誰にでも近づきたいわけじゃなくて、芽依だから近づきたいし」
「っ……」
「もう女遊びはしてないし、他の女性社員がいたとしても、芽依ほど傍に寄せたりしないし、するつもりもない」
「っ……」
「芽依を口説き落とすためなら、持ってるスキルフル活用するつもりだから、俺」
「っ……」
「覚悟しとけよ、手加減するつもりは一切ないから」
頬杖をついて、扇動的な瞳で見つめて来る。
目に毒だ。
こんな目の前でイケメンすぎる美顔が真っすぐ見つめて来るだなんて……。
動悸がヤバい。
心臓がもたない。
クールフェイスを装いたいのに、顔に熱が集中する。
「顔真っ赤、……可愛いっ」
「かっ……っっっ~っ」