『愛獣』放埓な副社長は堅固な秘書を攻め落とす
「乾杯、メリークリスマス」
「メリークリスマス」
リビングのソファーに座り、ワインを口にする。
彼女が買って来たワインは、俺の好きな銘柄だ。
やっぱり何でもお見通しらしい。
「芽依はアルコールだと、何が好き?」
「あ……そうですね。……炭酸で無い方が好きですね。飲めないことはないですけど、味わう前に限界が来てしまうので」
「じゃあ、この前の見合いの時なんて、相当飲んだじゃん」
「あれは完全に無理やり流し込んだだけです。味わう以前の問題です」
「そうだったんだ」
「……はい」
「甘いのと辛いのは?どっちが好み?」
「どちらでも」
「それじゃあ、答えになってないだろ」
「……そう言われましても」
「じゃあ、友人と飲み屋に行ったら、最初に何頼む?」
「……ウーロンハイ、かなぁ。バーとかなら、カシスオレンジを頼んだりしますけど」
「へぇ~」
「じゃあ、デートするなら海と山、どっちがいい?」
「……どちらでも」
「またそれかよ。どちらでも、どっちでも、何でも、そういうのナシな!しっかり選択して答えろ」
「えっ……」
「で、どっち?」
「……海?」
「泳げる?」
「上手くはないですけど、それなりに」
「じゃあ、来年の夏は海に行こうな。あ、リゾートスパなら冬でも行けるか。……よし、年末年始はスパ三昧するか」
「は?」
「芽依の水着姿、めっちゃ楽しみ♪」
「っ……、ここ何年も泳いでないので、恐らく泳げません!!というより、水着持ってませんし」
「別にいいよ、泳げなくても、俺が付いてるし。それに、リゾートホテルに行けば、水着なんて幾らでも売ってる」
「っ……」