『愛獣』放埓な副社長は堅固な秘書を攻め落とす



せっかくのクリスマスなのに、用事があるなら仕方がない。
プレゼントを買いに行く時間ができたと思うことにしよう。

一晩考えてみた。
彼女が喜びそうなものを。

たぶん、アクセサリーは負担が大きい。
俺自身は男が寄り付かないようにマーキング的にも婚約指輪をあげたいところだけど。
それはちょっと先走り過ぎるよな。
もう少し彼女の心を掴まないことには先に進まない気がする。

身支度を済ませ、何かしっくりくるものが無いか、ショップ廻りをすることにした。

実用性があって、貰っても負担にならないもの。

今まで好きになった人が彼女以外いないから、好きな女性に何を贈ったらいいのか分からない。
世間一般的なものを検索してみたけど、ちっともしっくりこなかった。

好きな人にプレゼントするって、こんなにもワクワクするもんなんだと、初めて知った。

誕生日に贈ったネックレスは、三年前に買ったもの。
誕生日プレゼントというよりは、秘書としての感謝の気持ちを込めて選んだものだった。
ずっと渡せず、ずっとしまっておいたものだ。

三時間ほど歩き廻り、ディスプレイに飾られているものに釘付けになった。
これだ!!

「いらっしゃいませ」
「ちょっと見させて貰ってもいいですか?」
「はい、もちろんです。ごゆっくりご覧下さい」

藍色に近い緑がかった色目の引き出しの形をしたプレゼント用のギフトボックス。
そこにお洒落に収納されるように陳列されたそれらは、無限の夢を導いてくれるアイテムのようで。
手触りや質感、色目や風合い、デザインや品質。

どれをとっても最適だと思った。

< 117 / 194 >

この作品をシェア

pagetop