『愛獣』放埓な副社長は堅固な秘書を攻め落とす
彼女の隣りに腰を下ろして、もう一つのプレゼントを差し出す。
「これが、俺の出した答えだから」
「……答え?」
「ん、開けてみ?」
チェストの引き出しのような形をしたギフトボックス。
芽依はそれをゆっくりと開けた。
「……パジャマ?」
「ん」
「凄く手触りがいいですね、これ」
「生シルクってやつらしい」
「生シルク?」
グレードは最高級のA6ランク。
生シルクは別名:着る美容液。
とろける肌触りと天然の輝きを放つ。
「芽依も知ってると思うけど、俺は、女は一度しか抱かないがブレないスタンスだった」
「……」
「元々、そういった行為自体に感情は含まれてなかったし、むしろ不要なものだと思ってた」
「……」
「だけど、芽依に一目惚れして、再会して、こんな風に同棲するようになって、初めて同じベッドで朝を迎えた女性なんだ、芽依が」
「……え」
「今まで、誰一人として誰かと朝を迎えたことが無い」
「っ……」
「俺にとって、芽依は特別なんだよ」
「……」
「一緒に夜を過ごしたいと思うのも芽依だけだし、朝を迎えたいと思うのも芽依だけだし」
「っ……」
「勿論、その先があるなら、それも芽依だけだと思ってる」
「……」
「契約は継続中だから、安心して聴いて貰いたいんだけど。等身大の仁科 響とゆっくりでいいから、一緒に過ごしてもいいと思ったら、それ着て?」
「……それって」
「……ん?」
「それって、二度目、三度目、四度目、五度目……ずっと先もあると思っていいんですか?」
「もちろんっ!ってか、当たり前だろ。毎日ずっと一緒だし、俺は永遠に続くと思ってるけど……?」
「っ……」