『愛獣』放埓な副社長は堅固な秘書を攻め落とす
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もう迷わない、諦めない、一歩も引かない。
駆け引きするような小賢しい真似はもううんざり。
目の前に欲しい女がいるのに、平気な面して機嫌を窺うとか面倒すぎんだろ。
飄々とした顔で余裕ぶちかましてられる段階はとうに過ぎたっての。
とある日の朝、いつもより一時間早く起きて芽依とのモーニングタイムを満喫しようとキッチンへと。
「はよ」
「あ、おはようございます。今朝は早いですね」
「今日から早く起きることにした」
「っ?……何かあるんですか?」
「ん、芽依とラブ朝食するため……?」
「っ……」
「とりあえず、顔洗って来る」
仕事で早めに起きたと思ったんだろうな。
俺の言葉に驚愕してたよ。
あの顔、マジで可愛い。
キッチンへと戻ると、朝食の準備をしている芽依。
普段は俺が寝ている間に食事を済ませてるんだろうけど、そうはさせねぇ。
「手伝うよ」
「え、大丈夫ですよ、すぐ終わりますし」
「手伝いたいの、これ運べばいい?」
オーバルのプレートに盛られた朝食。
サラダ、ハムエッグ、カットフルーツ、ホットサンド。
色鮮やかで食欲をそそる。
俺との距離を取りたい芽依と、距離を縮めたい俺。
根負けするのはどっちだろうな。
「珈琲貰える?」
「……はい」
遠慮して芽依のペースに持ち込まれて堪るか。
こっちは触れたいのを必死に我慢してセーブしてやってんだよ。
家にいる間だけでも、堪能させろや。
渋々ダイニングテーブルについた芽依。
視線を合わせようとせず、俺の目の前にドレッシングを置いた。