『愛獣』放埓な副社長は堅固な秘書を攻め落とす
吹き抜けから光が差し込む解放感あふれる空間と、水の揺らめきに癒される。
「芽依、スタイルいいな」
「恥ずかしいので、あまりじろじろ見ないで下さいっ」
「いいだろ、別に。……じゃあ、こうしてれば見えないだろ」
「っ……」
紺色のワンショルダーのビキニで、短めなフレアのスカート付きがセクシーさに愛らしさもプラスしている。
そんな芽依が俺の視線から逃れようとしたのを瞬時に逃さず、腕の中に閉じ込めた。
普段抱き締めても生地越しだから何となくしか伝わらない部分。
水着だと素肌がもろに出ている所が直接触れ合って、ドキッとしてしまう。
滑らかな素肌で、思っていた以上に華奢な体。
そして、後ろ肩と脇下とお臍の横にある小さなほくろ。
普段見れない場所にあるからこそ、特別感が増す。
何より、抜群のプロポーション。
大学三年の夏休みにカフェで見た見合いの時にも思ったが、出ている所はしっかりと出ていて、引き締まる所はキュッとしまっている。
「誰かに見られちゃいますよっ」
「俺らしかいないじゃん」
「っ……」
少し前まで五十代くらいの女性二人組がいたが、温泉に入ると言ってスパを出て行った。
今、スパには俺らしかない。
後ろから抱き締め、芽依の首筋に顔を埋める。
「幸せすぎて、実感湧かないな」
「……そうですね」
温水プールの水温が少し冷たく感じるように、芽依の体温が温かく感じる。
「明日のドレスって、背中もレースだったっけ?」
「……だったと思います」
キスマーク付けたいな。
体中にマーキングしたい。
明日のパーティーで芽依に、誰一人男が近づけなくなるように。
「んっ?!ちょっ……何してるんですかッ?!!」
「婚約指輪の代わり」
「は?」
「この子には『男』がいますよ!っていう証だよ」
「っ……」