『愛獣』放埓な副社長は堅固な秘書を攻め落とす

副社長の部屋のベッドまで彼を運んで横たわらせようとした、その時。

「んっ……」

一瞬のことで、何が起きたのか分からない。
体に衝撃があった、次の瞬間には……私は彼のベッドに横たわっていた。
しかも、視界には副社長の苦しそうな表情が……。

「副……社…長……？」
「っ………に…げろ」
「へ？……？」
「く……すりのせいでっ……体が……いう…ことをっ」
「っ？！」

額に薄っすらと汗を滲ませ、息がし辛そうにしている。
熱で辛いのかと思っていたが、先程の女性に何か怪しい薬でも飲まされたのかもしれない。

覆い被さるようにしている副社長が、倒れ込むように私の首元に顔を埋めた。

「んっ……ンッ…」

熱い吐息がかかり、彼の唇が僅かに動く。
さらりとした髪が頬に触れた、次の瞬間。
彼の舌が首筋から耳へと……。

「ぁっ……んッ…」

生まれて初めて味わう出来事で、頭の中が真っ白になる。
気付いた時には、ブラウスのボタンが外され、中に着ている下着が露わになっていた。

『逃げろ』
彼が苦しそうに口にした言葉。

女遊びが趣味でも、こんな風に無理やり襲うような人じゃない。

覆い被さる彼を跳ね退けようとしても、びくともしない。
男の人って、こんなに力があるの？！

首筋に当てられた唇が、鎖骨を通り過ぎ胸元へと。
顔の横に置かれている手に力が込められ、シーツを必死に掴んでいる彼。
彼なりに抵抗？しているのかもしれない。

眉間に深いしわを刻み、肌に触れる唇が物凄く熱く感じる。

「好きな……女は…しら…ふの……時に……抱きたぃのッ……に…」
「………ッ？！」

はだけた胸元に顔を埋め、彼は消え入りそうな声で呟いた。