『愛獣』放埓な副社長は堅固な秘書を攻め落とす
ニ十分ほどでシャワーを浴び終え、女が戻って来た。
「シャンパン開けたから、飲んでろ」
バスローブ姿の女を残し、俺はバスルームへと向かう。
はだけたYシャツの下に紅く鬱血した印。
一度だけの情事なのに、あの女は独占欲が強めらしい。
俺が一度限りの相手だとは思ってないようだ。
鏡に映る自分の姿を捉え、溜息が零れた。
壁に両手をつき、シャワーを頭から浴びる。
何も考えたくない。
こんな生活にもうんざりしてる。
三十歳という年齢が近づくにつれ、周りがどんどん結婚していき、子供が生まれたという知らせも最近は多い。
俺だって、好きな女と結婚して、可愛い子供が欲しいとさえ思える。
けれど、現実はそんな風にはいかないもんだ。
シャワーを浴び終え、バスローブを羽織る。
疲れ切った顔が鏡に映り、盛大な溜息が漏れ出した。
タオルで濡れた髪を拭きながら部屋へと戻ると、ほろ酔いの女が俺の元へと歩み寄る。
すぐさまキスを強請られ、流されるままに唇を重ねる。
背中を支えるように抱き寄せて気付く。
この女、下着を着けてない。
指先にブラの形状が当たらないことに気付き、更にやる気が削がれる。
やりたいだけの男なら、こんなこと気にも留めないだろう。
けれど、別にこの女を抱かなくたって、俺は女に不自由してない。
早いとこ、終わらすか?
こういうタイプの女は後々面倒なタイプだ。
必ずと言っていいほどに、『二度目』を催促してくる。
ベッドに押し倒し、覆い被さるように組み敷いた、次の瞬間。
女の手が、俺のバスローブの中の中心部を捉えて来た。