夜が明ける頃、二人は永遠の愛を誓いあった
彼が添える頬から自分の体温が少しづつ奪われていくように感じた。
「かな、ひさん…!」
泣きそうに潤んだ瞳で、衣緒は彼に訴えかける。
そんな彼女の様子を見て、叶氷は先程同様ゆっくりと微笑んだ。
「どんな表情でも美しいなんて、衣緒は罪な女(ひと)だね。ほら、そんな顔しないで。そんな顔されたらもっと…」
もっと衣緒から離れられなくなる。
衣緒の耳元に顔を寄せて、そう囁く。
その言葉はまるで麻酔薬のよう。
耳にしているだけで、麻酔が全身に巡り、麻痺していくような感覚に陥る。