ひねくれ令嬢の婚活事情
この大広間へ足を踏み入れてからというものの、どこへ行ってもひそひそと噂話をされる始末だった。
オレリアを誘う男の目はどれも欲でぎらついていて、彼女の豊満な胸や丸みを帯びた尻を不躾に眺めていた。そんな誘いが延々と続き、とうとうオレリアは進んで壁の花となることを選んだ。
一度、好奇の目に晒され続けることに辟易して中庭へ出てみたら、「いくら金を積めばオレリアを手篭めにできるか」を冗談まがいに賭けている下劣な紳士たちの話し声が聞こえてくる。
仕方なしに大広間へ戻ったところで、その一角でわっと歓声が上がった。
見ると、王太子とその婚約者エレーナが揃って入場したらしい。美しい男女が連れ立って歩く姿はそれだけで芸術性を帯びていて、周囲の人々は感嘆の息を漏らした。