ストーカー気質な彼女は,甘い溺愛に囚われる。
大事な女の子。
「んへー,じゃあやっぱこの前の,静流のストーカーじゃん」
「広く捉えれば,ね? 別に,陽深ちゃんの向ける視線に異常な何かを感じるとか,一切ないよ」
「ってか,全然気付かんかったわ。この前は近づこうか悩んでたから,たまたま気付いたんだな多分」
陽深ちゃんのこと,また前みたいに真輝が疑念を抱くと行けないから,説明することにした俺。
あんまり明け透けなことを言うから,ついフォローしてしまう。
「性格悪ぃな,静流」
カバンを重そうに背負った真輝の言葉に,何か特別な意味を含まれた事は分かった。
その嫌そうな表情は,本物だ。
「どうして?」
「その行動はともかく,行動原理はお前の事めっちゃ好きってとこにあるわけだろ?」
「うん? まあ,好きは好きなんじゃない?」
「……恋愛の方だろ。そこ軽く流すのはほんとに性格悪いぞ」