あなたの世界にいた私






「…私、顔に疲れてるって感じ出てる?」






「顔色が、あまり良くない感じはしますね」






「…そっか」



看護師にも分かるってことは、
先生はすぐ気づくよね。










医者だし、私の主治医だから。








「…待って」







病室に入る前に私がそう言うと、
看護師はすぐに止まってくれた。








「多分、雪斗くんがいるから、
帰ってって言ってくれる?」






「え、でも」






「お願い、ちょっと疲れたから」






「…分かりました」





そう言って、看護師は病室に入っていった。







そして、私はお手洗いの方に向かった。








きっと、今はすごく顔色が悪い。








雪斗くんはきっと心配する。








だから、今日は会いたくなかった。


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