あなたの世界にいた私
そして、その夜に雪斗くんが病室に来た。
先生に言われたことをずっと考えていたけど、
答えは出なかった。
「雪乃、久しぶり」
「…久しぶり」
夜と言っても、時刻はまだ19時。
でも、今の私の体力はもう限界だった。
「体調、あまり良くない?」
「…ごめんね、長くは話せないかも」
「ううん。無理はしないで」
そう言いながら、
雪斗くんは、ベッドの横にある椅子に座った。
「……最近ね…
…一日起きてることが出来ないの」
私は自分の今の状況を説明した。
そして、今一番、恐れていることも。
「…今は……
…寝るのが怖い」
寝てしまえば、
もう起きられないかもしれない。
そればかり考えてしまう。
「大丈夫だよ。
雪乃がぐっすり眠れるまで、
僕がそばにいるから」
雪斗くんは、私の手をそっと握って、
優しく安心させてくれるような口調で言った。
「ゆっくり休んで」
その甘い言葉に身体を委ねるように、
重い瞼が抵抗することもなく閉ざされた。
意識が遠くなる中、
私の頬を濡らす涙を
そっと拭ってくれた気がした。