あなたの世界にいた私











なんだか、
見ないうちに雰囲気が変わった気がする。






見た目も髪色が変わったからか、
また、一段とカッコよくなっていた。












そう思うのと同時に、私も変わったと、
思われているんだって思うと、
なんとも言えない感情が生まれた。







自分の身体なのに、
思うように動かせないから、











辛いのか、










悲しいのか、











苦しいのか、



わからない。










ただ、今の自分の姿を
雪斗くんには見られたくなかった。





「これ、交換してもらってくるね」





「待って」








そう言って、
部屋を出ようとする雪斗くんを引き止めた。








「雪乃?どうしたの?」








「ごめんね。
もう、食べられないからスプーンはいいの」






私がそういうと、彼は少しだけ驚いた。





でも、その反応は間違ってない。








誰が見ても、驚くと思う。






だって、朝ごはんなのに、
半分も食べれていなかったから。









でも、雪斗くんは、
なんともなかったかのように、
「そっか」と言い、微笑んだ。







その優しい微笑みが、













ずっと欲しかったはずなのに、












ずっと会いたくて、














待っていたはずなのに、















今はなぜか、
その微笑みを見るだけで苦しかった。













私に会いに来てくれた彼に、
申し訳ないと思ってしまった。








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