あなたの世界にいた私
「大丈夫?」
その時、心配した声が耳に届いた。
そして、僕の隣に座ったのは、
雪乃の主治医の優真先生だった。
だから、思わず聞いてしまった。
「…雪乃は…
雪乃は…もう」
そう言いかけた時だった。
「雪斗くん。
久しぶりに雪乃ちゃんを見たら、
確かに前よりは、
弱っているように見えるかもしれない。
でもね、雪乃ちゃんは、
今も変わらずちゃんと生きてる。
毎日、
生きようと必死に頑張ってる。
だから、雪斗くんの口からは、
その続きは言わないであげて。
雪乃ちゃんのためにも」
分かってる。
僕だって、雪乃にはもっと生きてほしい。
いつか、元気になるって信じてる。
でも、今日久しぶりに会った雪乃は、
ベッドの上でぐったりしていた。
たくさんの機械がつけられていた。
長く話すのも辛そうだった。
信じたくないけど、
認めたくないけど、
雪乃の病気は、確実に進行していた。
「……お願い、します。
…雪乃を…
…助けてください…。
…お願いします…」
僕には、願うことしかできない。
ただ、雪乃が元気になることを
祈ることしかできなかった。