あなたの世界にいた私
「…どうしたの?」
「うん、実はね、芽衣は退院してたんだけど、私も明日退院することになったの」
少し、言いづらそうに紗良ちゃんが言った。
「そっか。
…おめでとう」
私は、嬉しかった。
もう、私の身近な人が、
いなくなるのは耐えられない。
だから、
紗良ちゃんも芽衣ちゃんも元気そうで、
退院することが決まって、
とても、嬉しかった。
「ありがとう。
でね、12月15日の夜に、
ライブがあるんだけど、
よかったら一緒に見ない?」
「…ライブ…?」
「そう!
雪斗くんがいるグループのライブ!
今してるツアーの最終日!」
元気な芽衣ちゃんの声が、病室に響いた。
「…見たい。
……でも」
私は、見に行けない。
と言おうとした。
「大丈夫だよ。
オンラインでここで見れるから」
私が言おうとしてることが分かったのか、
紗良ちゃんが微笑んで優しく、言ってくれた。
「なら、見たい。
…見たいな」
「よし!なら、決まり!
15日の夕方にまた来るね」
芽衣ちゃんがそう言うと、
紗良ちゃんも頷いた。
「…ありがとう」
そう言って、私は微笑んだ。
それから、二人といろいろ話して、
優真先生が来たタイミングで帰って行った。