あなたの世界にいた私
「「雪乃」」
そう言って、
私の名前を呼ぶ声は優しかった。
ずっと私のことを一番に考えてくれて、
大事に育ててくれた。
命が尽きるその瞬間まで、
私を想ってくれた。
「お父さん、お母さん」
ずっと会いたくて、
もうすぐ会えるな、
なんて考えた日もあった。
「雪乃は、よく頑張ったよ」
姿も顔も見えないのに、
声だけが聞こえる。
「でもね、雪乃。
お母さんは、もう少しだけ、
頑張って欲しいな」
お父さんの声に続いて、
お母さんの声も聞こえた。
「「ずっと見守ってるから。
だから、頑張ってね」」
最後にその声が聞こえて、目が覚めた。
いつもの病室に、いつもの景色。
空は、いつの間にか日が登って、
外からは子供達の元気な声が聞こえた。