あなたの世界にいた私
その時、
思いたくないけど、思ってしまった。
あぁ、
人が死ぬ時ってこんな感じなのだろうか、と。
明日は、雪斗くんのライブがあるのにな。
明後日には、
雪斗くんと会う約束をしたのにな。
なんて、思いながら、
どんどん力が抜けていく。
胸が締め付けられて、
息ができなくて。
なのに、何故か、
ナースコールを押そうとは思わなかった。
あれだけ、
生きたくて、
約束を守りたくて、
頑張っていたのに、
この時だけは、
この先は運命に委ねてしまおう、
と思ってしまった。
「……ごめん…ね」
私の言った言葉は、
誰に届くでもなく、
私は意識を飛ばしてしまった。