あなたの世界にいた私
「…のちゃん、…
…きのちゃん、
雪乃ちゃん!」
ゆっくんの…
ううん。
先生の声がする。
焦った先生の声が。
そんな声に導かれるように目を開けると、
先生、看護師、紗良ちゃん、芽衣ちゃん、
そして、テレビには雪斗くんが映っていた。
まだ、生きてると思って安心したのと同時に、
せっかく取れていた機械がまた、
たくさんつけられていることに、
虚しくなった。
薬の効果が出ていると思ったのにな。
悔しかった。
悔しくて、
自分の身体が今更ながら、
嫌いだと思ってしまった。
その悔しさからなのか、
力は入らないし、
身体は思うように動かないのに、
涙は勝手に流れて、止まらなかった。