あなたの世界にいた私








そんな私に、芽衣ちゃんが声をかけてくれた。










「雪乃ちゃん。














雪斗くん、ライブしてるよ!」




そう言って、少しベッドを起こしてくれた。












そして、テレビに視線を移すと、
幸せそうな雪斗くんが映っていた。




















それに、テレビに映っていた景色は、
私の想像を絶するものだった。






















真っ暗の中に無数の光があり、





















舞台にはたくさんのライトが照り付けられ、



















そこで踊って歌っている雪斗くんは、
キラキラしていた。






















初めて見る、美しさと儚さ。



















そして、雪斗くんは今まで、
見たこともないぐらいに、


























笑顔で、




















なにより楽しそうだった。



























これが、






















雪斗くんが私に見せたかった、














“雪斗くんの世界”なのだと、














言われなくてもわかった。


















「…すご…い…ね」















掠れる声でそう呟くと、
紗良ちゃんも芽衣ちゃんも
笑顔で頷いてくれた。

















何故か、




その時だけは幸せだなって、思った。

























実際にライブに行けなかったのは悔しいし、


















最後は、


 

























最後ぐらいは、





















雪斗くんに直接、
伝えたいこともたくさんあった。

























だけど、もう私には時間がない。





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