あなたの世界にいた私
僕は、元々
アイドルになるという夢は持っていなかった。
父さんは、僕が生まれてすぐに、
心臓病でこの世を去った。
だから、
母さんが一人で僕を育ててくれていた。
毎日、毎日仕事で、
疲れているはずなのに、
母さんは、いつも笑顔だった。
そんな母さんを見るのが辛くて、
僕が母さんを助けてあげなきゃって、
幼いながら思っていた。
だから、僕は
いいところに就職するためにたくさん勉強した。
医者や、弁護士にでもなれたら、
母さんを助けられると思ったから。
母さんを楽にする。
それが僕の夢だったんだ。
でも、僕が中学生になってすぐの時だった。
母さんは死んだ。
過労死だった。
僕が、医者になるなんて言ったから、
今よりももっとお金が必要で、
母さんを苦しめた。
あの時、僕があんなこと言わなければ、
母さんは死なずに済んだのに。
そうやって、僕は自分を責めた。
僕は……
…母さんを殺した。