あなたの世界にいた私
今まで、
ずっと“死にたい”と思っていたのに、
あなたに出会ったから、
雪斗くんに出会ってしまったから、
生きたいと思ってしまった。
つい前までは、
少しだけだったのに、
雪斗くんに会うたび、
その意志が強くなっていた。
「大丈夫ですよ!
大丈夫ですから‼」
今までなら、
みんなが言う“大丈夫”に腹が立っていた。
何が大丈夫だ。
何も知らないくせに。
そんなワードが、
頭の中からいくつも出ていた。
なのに、
今は、
その言葉が何よりも心強かった。
だから、伝えたかった。
助けてくれた人に、
”ありがとうございます”と。
でも、
私の意識は救急車が来る前に、
途絶えてしまった。
「…っっつ!」
鋭い頭痛に叩き起こされた。
目を覚ますと、いつもの病室だった。
頭の激痛で割れそうなのに、
目を覚ますことができて、
それが嬉しくて、
安心して、
幾度となく涙が溢れ出した。
「失礼します。
…藍原さん!どうされました⁉」
「……頭が…痛くて…」
その後、すぐに優真先生がきて、
鎮痛剤を投与してくれて、
少し痛みも治まった。
そして、重たくなった瞼に抵抗する力もなく、
そのまま深い眠りに吸い込まれた。