あなたの世界にいた私

私が一番伝えたかった言葉を。

ううん、違う。
今、言わないと後悔すると思う。

私には、“また今度にしよう”ができないから。
今しか、ないから。

「雪斗くん、あの日私に、生きる理由をくれて、ありがとう。
 雪斗くんのおかげで、まだ生きていたいって思えるようになったから。
 ………本当に、ありがとう」

言えた。
きちんと目を見て、“ありがとう”って言えた。

でも、視界が滲んで、雪斗くんの表情はよく見えなかった。

「…お互い様だね」

そう言って、微笑んでいる雪斗は、私に言ったんだ。

私には、決してできない約束を。
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