あなたの世界にいた私

「藍原さん、どうされましたか?」
「娘が、もどしてしまって」
「分かりました。すぐ行きます」

先生たちが来るまで、お母さんはずっと背中をさすってくれた。

「もう、大丈夫だよ。ありがとう」
「そう?…じゃあ、これ捨ててくるわね」

そう言って、今さっき私がもどした袋を持って、病室を出て行った。


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