あなたの世界にいた私




私は、昔からこの瞬間が一番嫌いだ。







誰かの”死“を意味しているのと同じだから。





「……先生…。







…私はいいから…






…お母さんを…助けて…」







「お母さんも頑張ってるよ。
だから、雪乃ちゃんも頑張ろう」






その言葉を最後に私の意識は途絶えた。




意識が途絶える瞬間、
今まで何度も願ってきたことを思い出す。




ずっとこのまま死にたいと思っていたことを。




だから、お母さんまで居なくなるなら、私もこのまま死んでしまいたいと思うはずだった。




なのに、どうしても雪斗くんの言葉が頭から離れなかった。










“僕の初めてのファンになって”









“雪乃のおかげでここまで頑張れた”









こんなこと、
誰にも言われたことがなかったから。





だから、雪斗くんに何も言わないまま死んでしまうのは違う気がした。




だから、お母さん、向こうで待ってて。




そう言いたかった。




私はまだ生きるって。







でもね、そんなのは全部綺麗事だ。





思うことだって、
言うことだって簡単に出来る。



でも、それを受け入れることが出来ない。


1人になってしまったら、
もう生きる気力なんか出ないよ。



   



例え、誰かが私を必要としていても。







雪斗くんが願ったとしても。





ごめんね。






だから、私は…


















ファン失格だ。



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