あなたの世界にいた私






「…私……











…一人になっちゃった……」








弱い自分を見せたくなかった。





なのに、






雪斗くんに縋るように弱音を吐いてしまった。






泣きたくないのに、




泣くのを我慢するから余計声が震えて、





結局我慢できなくて、
ボロボロと涙が頬を伝う。









「僕がいるよ。








雪乃は一人じゃない。 














…僕がいる」






そう言って優しく、
それでいて強く抱きしめてくれた。





その優しさに甘えて私は泣いた。






小さい子供みたい、声をあげて泣いた。




周りの目なんか気にせず、
雪斗くんの胸の中で泣いた。






その間、雪斗くんは、
何も言わずにずっと
背中をリズム良く”トントン”としてくれた。







それが心地良かったのか、






ただ泣き疲れたのか、







私の身体の限界なのかは
分からなかったけど、







そのまま深い深い眠りに引き込まれた。




< 51 / 207 >

この作品をシェア

pagetop