あなたの世界にいた私
「雪乃ちゃんは、約一ヶ月間眠ってたんだ」
私たちの間に入ってきた先生の言葉に、
思わず息を呑んだ。
「…一ヶ月…?」
「僕たちが会ったあの日、
雪乃が応答しなくなって、
初めは眠っただけだと思った。
でも、そうじゃ無かった。
…雪乃は……
…息をしていなかった」
あの日、私が眠ってしまったのは、
身体の限界だったということを今更知った。
自分が一番分かっているはずなのに、
分かっていなかった。
「…それで僕が救急車を呼んだ」
「…雪斗くん…ありがとう。
……もう泣かないで」
そう言って、
私はそっと雪斗くんの頬に伝う涙を拭った。
この涙は、私のために流してくれている涙。
だからこそ、泣いてほしくなかった。
私なんかのために、
この綺麗な涙を流してほしくなかった。