あなたの世界にいた私
言えないよ。
こんなこと言ったら、
雪斗くんにまで迷惑をかけてしまう。
頭では分かっていた。
でも、口が勝手に開いた。
そういう口実をつけてでも、私は、
雪斗くんに私を知って欲しかったんだと思う。
「……私は小さい時から…病気で、
ずっと入院してるの」
「…治るんだよ…ね?」
不安そうに尋ねる彼に、
苦笑して首を横に振ることしかできなかった。
不安そうな彼を安心させるために、
頷くことができなかった。
「…嘘だ…。
だって、
ずっと…普通に公園で会って、話だってして」
「雪斗くん、聞いて」
目の前の人に、
今までずっと普通に会話していた人に、
”病気だ”なんて言われたら、
誰だって取り乱す。
だから、
落ち着かせるように、
そっと雪斗くんの手を握った。