あなたの世界にいた私
「失礼します」
すぐに、優真先生と看護師たちが入ってきた。
言わなきゃ。
ずっと、
心配そうな目で見つめて立っている彼に。
「…出て行って!」
最後の力だったのかは分からない。
ただ、
私が叫ぶ声は一瞬周りを静まり返らせた。
「雪斗くん、今日は帰ってくれる?」
静まり返った部屋に、
とても冷静に声を発したのは優真先生だった。
「雪乃ちゃん、痛くても呼吸止めないで。
ゆっくり呼吸して」
その後のことは、
あまりよく覚えていない。
ただ、私は雪斗くんに言った言葉とは逆に、
涙を流していた。
胸の痛みに涙が出たのか、
雪斗くんにきつく当たってしまったことの
後悔の涙なのか。
意識が朦朧とする中考えたけど、
答えは考えるまでもなかった。
とっくに出ていた。
周りがバタバタとしている中、
私は彼の、
雪斗くんの幸せだけを願って意識を手放した。