あなたの世界にいた私
あれから1週間。
雪斗くんは、また病室に来なくなっていた。
「ねぇ、先生」
「何?」
「私にできること、あると思う?」
私がそう聞くと、
先生は少し手を止めて考え出した。
「まずは、
雪乃ちゃんが元気になることかな?」
そう言って、
笑顔を向けてくる先生から顔を背けた。
「…聞く人間違えた」
「え〜。俺、結構真面目に答えたんだけど」
そう言って、
ぶつぶつ何か言ってるのを背中に、
ふと思った。
今までなら、
どうせ治らないからと言って、
壁を作っていた。
でも、今は、先生に言われて、
”元気になりたい”と思うようになっていた。
これも、雪斗くんのおかげだ。