あなたの世界にいた私



あれから1週間。




雪斗くんは、また病室に来なくなっていた。





「ねぇ、先生」



「何?」












「私にできること、あると思う?」





私がそう聞くと、
先生は少し手を止めて考え出した。










「まずは、
雪乃ちゃんが元気になることかな?」







そう言って、
笑顔を向けてくる先生から顔を背けた。







「…聞く人間違えた」







「え〜。俺、結構真面目に答えたんだけど」







そう言って、
ぶつぶつ何か言ってるのを背中に、
ふと思った。





今までなら、
どうせ治らないからと言って、
壁を作っていた。




でも、今は、先生に言われて、
”元気になりたい”と思うようになっていた。














これも、雪斗くんのおかげだ。


< 85 / 207 >

この作品をシェア

pagetop