あなたの世界にいた私
「雪乃って言ったっけ?
お前でいいや」
突然、すぐ近くで聞こえた声に肩を揺らすと、その瞬間、勢いよく腕を引っ張られた。
「雪乃!」
一瞬、何が起こったか分からなかった。
でも、さっきまで立っていたはずなのに、
足に力が入らなくて、
地面に膝から崩れ落ちた。
これも症状…?
なんて思っていたのに、そうじゃなかった。
さっきまで何の痛みもなかったのに、
腹部に痛みを感じて、視線を落とすと、
さっきまで、
奏斗くんが持っていたはずの包丁が、
突き刺さっていた。