あなたの世界にいた私
「雪乃‼︎
あぁ、どうしよう、血が」
「……雪斗…くん…。
……先生…いるから…
…呼んできて…くれる?」
「でも」
「…お願い」
「…うん、わかった。すぐ戻る」
今、何分経ったのかな?
もうとっくに、15分過ぎたよね。
また、優真先生に怒られちゃうな。
「奏斗…くん……」
私が呼んでも、彼は黙っていた。
「…雪斗くんのこと…
…嫌い?」
「……違う。
俺は、こんなことをしたかったんじゃない」
「雪斗くん……言ってたよ。
…デビュー…できなかった子の分まで…
…頑張るんだって」
私がそう言うと、
彼の目から一つ、二つと涙が溢れた。
「……私ね…
…病気……なんだ」
「え…?」
「だから……もし……
…私が…死んでも…
…ちょっとだけ…死が…
…早まっただけだから。
…だから…私は大丈夫だよ」
「…ごめん。
…俺…どうしよう…。
本当にごめんなさい」
そう言って、奏斗くんは泣き崩れた。
「…奏斗くん……
…生きて……ね」
こうして、私の意識は途絶えた。
意識が遠くなる寸前、
遠くから先生と雪斗くんの声が聞こえたけど、
重たい瞼に抵抗できず、
そのまま深い眠りに引き摺り込まれた。