あなたの世界にいた私
そして、その後雪斗くんが、
奏斗くんのことを話してくれた。
奏斗くんは、あの後すぐ、
警察署に行き事情を話したと言う。
そして、雪斗くんの賄賂事件は、
奏斗くんが勝手に作った話で、
事実ではなかったこと。
殺害予告も、
奏斗くんがやったと言ったらしい。
ファンもその事実を知り、
雪斗を誹謗中傷する人はいなくなったと言う。
「…解決できて、よかったね」
「うん。
…雪乃、あの時来てくれてありがとう」
そう言って、
雪斗くんが私の手をそっと握った。
だから私も握り返そうとした。
でも、上手く力が入らなかった。
約一ヶ月も眠ってたからと思いたかったけど、多分そうじゃない。
だって、左手だけ、
力が入らなかったから。