あなたの世界にいた私
「…雪斗くん、私決めたよ」
「…何を?」
今まで、生きる理由がないと言って、
ずっと死にたいと思っていた。
でも、雪斗くんに出会って、
何故かわからないけど、
生きたいと思うようになっていた。
その理由は未だにわからない。
でも、
一つだけ死ぬまでにしたいことができた。
それを一番初めに雪斗くんに伝えたかった。
「…私は、死ぬまでに、
一度でいいから雪斗くんのライブに行く」
「うん。
なら、僕は最高のライブになるように、
もっと練習を頑張る」
これが私の叶えたい夢だ。
「……私、頑張るから…雪斗くんも頑張って」
そう言って、握っていた手に力を込める。
その力は、
自分が思ってる何倍もなかったかもしれない。
でも、今できる精一杯の力を込めた。
今思えば、手から伝わる雪斗くんの温もりに、勇気をもらってたんだと思う。
出会ってからずっと、
隣にいてくれた雪斗くんに。