恋愛ゲームの悪役令嬢に転生しましたが、推しカプの仲人に忙しいので、そちらはどうぞ勝手にお幸せに
プロローグ〜確信いたしました
「ぶす」
初対面の人間から、開口一番にそう言われて喜ぶ人はまずいないだろう。
けれども、わたくしはこう思ってしまったのです。
(やったわ……これで確信しました!ここは、あの恋愛シミュレーションゲームの世界なのですね!そしてわたくしは……その中の登場人物なのですわ!!)
ーーと。
ここはアクスフィア王国王宮庭園の東屋。
先ほど発言したのは御年9歳の、この国の第1王子であり王太子であられるカイン・フォン・アクスフィア殿下。
王族にしか着用を許されない金糸で縁取られた深紅色のジャケットを羽織る彼は、見た目は完璧な王子様だ。
5月のまばゆい陽光を受けてキラキラ光るプラチナブロンド。蒼い目から鼻から口から、これ以上なく整ったパーツ。日焼けなど無縁な白い肌。
対するわたくしは、マルガレーテ・フォン・バーセンハイム公女。今年6歳になりました。
アクスフィア王国の隣に位置する海の上の島がそのまま領土である、バーセンハイム公国の次女です。
まぁ、眉目秀麗な彼から見れば大抵の女性は「ぶす」かもしれませんが、わたくしは特に女性の中でもイケてない自覚はあります。
なにせ、丸顔に切れ長の一重まぶた。髪はごわごわ剛毛の赤いくせ毛。瞳は真っ黒。鼻は低いし唇は厚ぼったくそばかすまであります。おまけに太り気味。
そんな体を淡いピンク色のヒラヒラドレスで無理やり可愛く見せようとして、かなり痛い事態になっていることでしょう。
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