恋愛ゲームの悪役令嬢に転生しましたが、推しカプの仲人に忙しいので、そちらはどうぞ勝手にお幸せに
「ということで、カイン殿下。マリネはアベル様のもとに通いますが、わたくしとは今後一切関わりなくいてくださって結構ですわ」
空気と化していたカイン王太子ににっこり笑ってそう言うと、彼はなぜかムッとした顔をされてましたね。
「おまえ、生意気だな!オレが断るならともかく、おまえなんかに断られるのは気に入らない!」
おやおや、おこちゃまな発言ですわね…まあ、まだ9歳なら仕方ないですが。
「ですから、申し上げておりますわ。これは偽りの婚約ですから、と。あなたはヒロインでも誰でも好きな方を見つけて勝手にお幸せになられてくださって結構ですわ。婚約破棄も喜んで受け入れますから」
「そ、そんな信用できるか!だいたい、おまえは婚約破棄されたら傷物になるんだぞ?ぶすなおまえなんか、誰も結婚してくれないからな!」
うん、殴っていいかな?
さすがのわたくしも、ぶすを連呼されたら頭にも来ますわよ。
「貴族令嬢なんざ、結婚がすべてだろう!他になにがあるんだ!」
かぁー21世紀の女性陣が聞いたら怒り狂う差別発言ですわね。わたくしだとてブチ切れそうですが、相手は子ども。わたくしは体は小さいけど精神は大人……うん。大丈夫。
「お忘れですか、殿下。わたくしはバーセンハイム公国第2公女。将来は大公に即位する可能性もありますのよ?今は姉上が次の大公位を約束された大公女ですが、わたくしに代わる可能性はゼロではありませんの」