恋愛ゲームの悪役令嬢に転生しましたが、推しカプの仲人に忙しいので、そちらはどうぞ勝手にお幸せに

カイン王太子と初対面してから1か月。

できたら王宮になど来たくはありませんでしたが、あれこれせねばならないことがありますから仕方ありません。

「リリアナ、今度のお茶会には来てくださるのよね?」

王宮の談話室でお姉様に無邪気にそう問いかけてきたのは、この国の第2王女殿下であられるモニカ様。黒髪をゆるく結い上げ、赤い瞳を持つかわいらしい雰囲気のお方です。
お姉様と同い年の幼なじみで、お姉様の御学友でありご親友でいらっしゃいます。
お姉様は定期的にモニカ様をお訪ねされ、交流を持たれてらっしゃいます。今日は無理を言ってわたくしも同行させていただきました。

お姉様は将来の大公として一生懸命努力されてる。いつも夜遅くまで勉強したり、家臣と相談ごとをしたり…身につけるものも質素で古びたもの…10歳は遊びたい盛りなのに、なんだかお気の毒ですわ。

「マルガレーテ、わたくしの分もケーキをお食べなさい」
「お姉様…いいんですの?」
「ええ。あなたはお腹いっぱいお食べなさい」

お姉様の微笑みは痛々しい…。最近のわたくしたち姉妹の食卓はかなり質素で、両親の美食の浪費の影響をマトモに受けていた。大公女が毎朝パンとスープだけなんて…。お姉様は妹のわたくしをお腹いっぱいにできなくて申し訳無い…と夜にひっそり泣いてらしたことを知っている。

(わたくしもしっかりせねば…お姉様にも幸せになっていただきたいもの)
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