恋愛ゲームの悪役令嬢に転生しましたが、推しカプの仲人に忙しいので、そちらはどうぞ勝手にお幸せに
「ダイヤモンドがこんな七色に輝く美しい宝石だったなんて」
モニカ王女がうっとりと見惚れてらっしゃるのも無理ないですわ。ダイヤモンドの美しさは、カットと研磨でようやく発揮できますからね。
「はい。お友達になっていただけた記念に、ぜひモニカお姉様に身につけていただけたらと思いまして。きっと皆様の視線を集めることでしょう」
「皆の視線を……」
想像したのか、モニカ王女の頬が染まりました。
皆の視線を集める…王女様ならば悪くない話のはずですわ。
「そうね……。しばらく身につけることにするわ。ありがとう、マルガレーテ」
そうおっしゃられた瞬間、わたくしの中で歓喜が湧きあがりました。
(名前呼びすて…!一気に距離が縮んだわ。やったわー!!あと、ぜひずっと身につけてダイヤモンドをアピールして!王女殿下ならあちこちに呼ばれる機会があるから、これ以上ない宣伝になりますわ)
今までダイヤモンドが人気がなかったのは、真の美しさが知られてなかったから。
わがバーセンハイム公国の特産品として流通できるようにすれば、確実に需要はあるはずですわ。
研磨やカッティング技術はしばらく門外不出で、わがバーセンハイムが独占するのです。
「リリアナお嬢様、そろそろ退出を。次の予定があります」
「あ、そうね…ありがとう、シシ」
お姉様専属の従騎士が呼びに来たついで、わたくしもお暇いたします。わたくしもせねばならないことは山積みですものね。
「……マルガレーテ様、女官長がお待ちです」
シシにそっと耳打ちされ、「わかりました」と返事をして気を引き締めましたわ。