恋愛ゲームの悪役令嬢に転生しましたが、推しカプの仲人に忙しいので、そちらはどうぞ勝手にお幸せに
むふーと鼻息荒くしていると、カイン王太子から余計なひと言をいただきましたわ。
「おまえ、なに企んでる?」
「あら、失礼ですわね。わたくしはただ、皆(推しカプ)のしあわせを願っているだけですわ」
というか、早く離れたい。あなたと関わると将来破滅なので、できるだけ接触したくないのですけれど。
「おまえ、知らないのか?その悪役そのものの笑みで、バーセンハイム公女はなにを考えているかわからないし、絶対何かを企んでる。悪知恵が働くと評判悪いぞ。先月あった民の武装蜂起もおまえが扇動した…と言われてる」
「あら、そんな噂が? ですが、構いませんわ。わたくしはどんなに評判が地に落ちようと、お姉様や民がしあわせならば」
カイン王太子の言うとおり、先月バーセンハイム公国は危機に陥った。わたくしが知恵を絞りなんとか乗り切りましたが…。
「……おまえ、ちゃんと護衛騎士いるのか?」
「あら、いりませんわ、そんなもの」
わたくしは小さく息を吐くと、手を高々と掲げ心にイメージを描きます。
すると、目の前にたちまちブワッと炎が燃え上がりました。
パチン、と指を鳴らすと自由自在に変形した炎は矢に変形し、近くにあった岩に突き刺さるとそれを一気に炎で包みます。また指を鳴らすと、炎は跡形もなく消え去りましたわ。
「このように、魔法の鍛錬を怠ってはおりませんから、ご心配なく」
「無詠唱で…」と目を白黒させるカイン王太子に、にっこりと言っておきましたわ。
(推しカプをくっつけるのにダンジョン探索は必須。お二方を護るくらいに強くならねばなりませんからね)