恋愛ゲームの悪役令嬢に転生しましたが、推しカプの仲人に忙しいので、そちらはどうぞ勝手にお幸せに
「それにしても、リリアナ。あなた、まだ婚約者を決められてないのね?」
モニカ王女が同じ部屋にいたリリアナお姉様に話を振るのも自然なことですわね。
お姉様は彼女と同じ13歳。王侯貴族の娘なら早いと結婚すらするお年ですもの。
「バーセンハイムの大公になられるならば、きちんとした方を決めねばなりませんよ?縁談が遅くなればなるほど、よい殿方はいらっしゃらなくなるのが現実ですわ」
モニカ王女の言葉は現実的で耳が痛いですわね……
前世を生きた日本でも同じでしたわ。優良な男性ほど狙われますから。早く結婚しがちでしたわ。
それにしても、リリアナお姉様はなんだか近ごろ塞ぎがちなのです。今も、どこか暗いですわね。
「え、ええ……わかってはいますわ」
「気乗りしない様子ですわね……まさか、ですが……気になる殿方でもいらっしゃいますの?」
モニカ王女、ナイス突っ込みですわ! ほら、見てくださいな。リリアナお姉様の白い肌が見る間に赤く染まっています。
そして、一瞬ですが……お姉様が視線を後ろにやったことをわたくしは見逃しませんでしたわ。
リリアナお姉様の後ろで侍女とともに控えていたのは、専属の護衛騎士のライトと彼の従騎士であるシシですが。
ライトはとうに結婚している26歳のベテラン騎士。
となれば……
(やっぱり……お姉様はシシがお好きでいらっしゃるのね)
思い当たる節がありすぎて、納得せざるを得ませんでしたわ。